国税庁が発表した最新の国税滞納状況によれば、2022年度末時点での国税の滞納残高は前年度比で1.0%増加しました。残高のピークだった1998年から比べれば3割ほどですが、22年ぶりの増加に転じた一昨年からの流れが続き、コロナ禍や消費増税が納税者に大きなダメージを与えている現状が浮き彫りとなりました。
22年度に新たに発生した国税の滞納額は7,196億円で、前年から4.4%減少。消費増税後で約3割の急増となった前年から減少しています。とはいえ09年以来の高水準を保っていることに加えて、22年度末時点での滞納額の残高は8.949億円となり、前年から約1%増えました。
残高の増加率を税目別にみると、法人税が7.4%増で最大。次いで、所得税3.7%と続きました。一方、昨年に増加率が最も高かった消費税は4.0%減少しました。
これまでの新規滞納発生額の推移を見ると、ピークだった1992年から増減を挟みながら減少を続けてきたなかで、発生額がぐっと増えた3つの山があります。一度目は98年で、二度目が2015年、三度目の山が21年度で、いずれも消費増税のタイミングに当たります。
税金の納付が期限より1日でも遅いと、期限から経過した分の延滞税などがかかってしまいます。それでも税金が納められないと、納税者個々の事情にもよりますが、督促状の発送から10日を経過した時点で、法律上は財産の差し押さえが認められます。滞納から差し押さえまでの猶予は、予想以上に短いものとなっています。差し押さえられた財産は、順次ネット公売などにかけられて滞納分に充てられることになります。
国税庁の公表したレポートによれば、1年間に約1,740件、実に約43億円分の財産が売却され、高級車やクルーザーなどの富裕層の資産も対象となっています。
<情報提供:エヌピー通信社>