◆3年連続でランク上昇「YouTuber」!
学研教育総合研究所の小学生が将来就きたい職業アンケートによると、「YouTuberなどのネット配信者」は、90年代から男子人気の筆頭であった「プロサッカー選手」を抜き、いまの憧れの職業となっています。ほんの一部の人に集中しているようですが、ものすごく稼いでいる人がいる職業の一つでもあります。
◆税務情報提出不履行で収益最大24%控除
2021年3月10日、YouTuberを傘下に持つグーグルの日本法人が、動画配信サイト「ユーチューブ」の投稿者に対し、税務情報の提出を義務付けると発表しました。これは、「米国内国歳入法第3章及び第4章における最終規則の公表」の影響によるものであり、日本在住のYouTuber(=非米国居住者)に対してグーグル(=米国源泉所得を支払う者)がAdSense(=広告収入)を支払うことに起因しています。
グーグルから広告収入を得る日本のYouTuberには、個人の税務情報である納税者番号(=日本の場合はマイナンバー)の提出が求められます。税務情報の提出がなされれば、適正な課税処理となりますが、税務情報の提出が不履行であれば、全広告収入の24%が差し引かれる場合があるということです。この税金控除は当年6月から実施されるので、税務情報の提出(=グーグルAdSenseの届出書)を5月31日までに行うことが求められています。
◆日米租税条約が適用されれば源泉税ゼロ
本件の課税対象所得は、広告収入のうち、米国の視聴者による収益です。①適正な税務情報の提出で日米租税条約が適用されれば源泉税は免除されゼロとなります。②優遇措置を申請してもそれが受けられなければ、米国の税法により米国視聴者による収益の30%が源泉税となります。③税務情報の提出がなければ、どこの国の視聴者による収益かが区分されることなく、全収益の24%が控除されることになります。
適正な届出をすれば恐れる必要のない話ですが、すわ“YouTuberにも国際課税の洗礼か!”というニュースでした。
ちなみに、これが逆の場合(=日本の視聴者による広告収入を日本の会社が非居住者に支払う場合)は、源泉税は20.42%となります。もちろん、個別に租税条約の適用は可能ですが、居住国の課税当局の居住者証明の原本提出が求められることなど、結構面倒な手続きとなります。