国税庁:2020事務年度の海外取引法人等に係る実地調査結果を公表!

 国税庁は、2020事務年度の海外取引法人等に係る実地調査結果を公表しました。
 それによりますと、2020事務年度(2020年7月から2021年6月までの1年間)において、海外取引法人等に係る実地調査を4,569件(前年度比▲65.2%、▲はマイナス)実施しました。
 また、海外取引等に係る非違があったものが1,424件(前年度比▲60.8%)ありました。

 非違があった件数は、前事務年度に比べて減少し、海外取引等に係る申告漏れ所得金額も▲36.5%の1,530億円となりました。
 非違があったうちの185件(同▲62.8%)は不正計算があったもので、不正所得金額は93億円(同▲49.2%)となりました。

 近年、企業等の事業、投資活動のグローバル化が進展するなか、海外取引を行っている法人の中には、海外の取引先への手数料を水増し計上するなどの不正計算を行うものが見受けられることから、国税庁では、海外取引法人等に対し、国外送金等調書や租税条約等に基づく情報交換制度を積極的に活用するなど、深度ある調査に取り組んでおります。

 海外取引に係る脱税や租税回避を防ぐために各国の税務当局と金融口座情報を交換する新制度(CRS)も積極的に活用しております。
 2020事務年度においても、外国税務当局から受領した金融口座情報を端緒に取引の全貌を解明し、海外の代表者名義口座を利用して売上を除外していた事案が挙がっております。

 調査対象は、製造業を営むA法人で、代表者が海外で保有する預金口座情報をX国からのCRS情報により入手し、その口座に多額の残高があることを把握しました。
 A法人の申告上は、国内売上のみとされているにもかかわらず、税務調査で確認したところ、海外関連費用の計上が認められました。
 この事実に基づき代表者を追及したところ、海外グループ法人に対する役務提供の対価を海外の個人口座で回収することにより、売上を除外していた事実が判明しました。
 調査の結果、A社に対して、5年分の法人税の申告漏れ所得金額1億2,000万円について重加算税を含む追徴税額3,300万円が課されました。
(注意)
 上記の記載内容は、令和4年6月6日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。