公正取引委員会が公表した2024年度の「独占禁止法違反事件の処理状況」によると、「排除措置命令」が21件あったそうです。過去10年間で最多の件数。このうち9件は損害保険大手4社によるカルテル・談合事件でした。
企業が独禁法違反の疑いがある行為の取りやめや再発防止を約束する代わりに公取委が調査を終える「確約手続き」は3件。独禁法違反の恐れがあるとして出された行政指導の「警告」は8件。「排除措置命令」「確約手続き」「警告」の合計数は32件で、過去10年間で最多となりました。
課徴金納付命令の対象となったのは33事業者。課徴金の合計金額は約37億円で、1事業者当たりの平均額は1億1,230万円でした。課徴金額は大手電力会社によるカルテル事件などがあった22年度の約1,020億円が過去最高額。
公取委によると、24年度は大手損保による企業等向け保険料カルテル事件のほか、給食サービス提供事業者による学校給食調理業務の入札談合事件、機械式駐車装置メーカーによる受注調整事件、漁業協同組合による水産物の生産者(組合員)に対する全量出荷要請事件、医療機器メーカーによる抱き合わせ販売事件などに厳正に対処したとしています。
グーグルによる取引妨害が疑われる事案、管工機材・住設機器の大手卸売事業者による物流事業者への優越的地位の濫用が疑われる事案については確約手続を利用して対処したと報告。また、大手食料品メーカーによる食品の再販売価格の拘束の疑いについては、警告の措置をとって対処したとしています。
公取委では25年度も引き続き、中小事業者からの価格転嫁要請に対して発注者側が適正に対応しているかについて厳重に監視・監督していく方針。発注サイドの事業者による優越的地位の濫用につながるおそれがある行為に対しては、独禁法違反行為の未然防止の観点から「注意」を行うなど、不当に不利益を与える行為には厳正に対処していくとしています。
<情報提供:エヌピー通信社>