エヌピー通信社:法人の追徴税額が高額化

 法人への税務調査1件当たりの追徴税額は増加傾向にあります。2023事務年度の法人税・法人消費税の調査で発覚した申告漏れの金額は9,741億円で前年度比24.9%増となりました。

 1件当たりの追徴税額は549万7千円で、10年度以降3番目に高い水準です。10年度以降の14年間でみると、コロナ禍で「調査対象を絞りに絞った」(国税当局)という20年度が780万6千円で最も高くなっています。その後は21年度が570万1千円、22年度が524万1千円、そして23年度が549万7千円で、これに19年度の313万5千円を加えたものが〝トップ5〟となります。それ以前はいずれも200万円台だったので、ここ5年間は明らかに追徴税額の高額化が進んでいるといえます。 

 追徴税額が高額化している背景には、いわゆる大口案件の影響もありますが、申告漏れの可能性がある「調査必要度の高い法人」を事前に絞り込む手法などによって調査の効率化を図ってきた国税当局の姿勢によるものでもありそうです。

 国税当局はAIの活用やデータ分析による調査手法の構築に力を入れています。データベースに蓄積された申告事績や法定調書などの資料をもとに、当局では「BAツール・プログラミング言語を用いて統計分析・機械学習などの手法により分析することで、申告漏れの可能性が高い納税者などを判定し、その分析結果を活用する」としています。その結果、「申告漏れの可能性が高い」と判定された納税者に対する23年度の追徴税額は1,665億円(追徴税額全体の78.9%)におよび、前年度から193億円の増加となりました。

 なお、AIや調査官に「調査必要度の高い法人」と判断される可能性が高いのは、「消費税還付申告法人」「海外取引法人」「無申告法人」などです。いずれも国税当局が特に重点的に取り組むとしている調査対象です。
<情報提供:エヌピー通信社>