エヌピー通信社:コロナ破綻が5千件突破

 長引くコロナ禍で、中小企業の〝息切れ倒産〟が増加しています。東京商工リサーチが1月上旬までに集計したデータによれば、新型コロナウイルスの流行による影響で破たんした企業が、ついに5千件を突破しました。コロナ禍が本格化した2020年のコロナ破たんは850件程度に抑えられていましたが、コロナ禍が長引いたことで多くの中小企業が先行きを見通せなくなり、破たんの増加につながっています。

 東商リサーチによれば、1月6日時点までに確認されたコロナ破たんは5,147件(負債1千万円以上4,895件、1千万円未満252件)ありました。件数は22年に入って増勢を強め、9月(206件)、10月(226件)、11月(210件)に続き、12月も月間最多の243件が判明し、22年は前年(1,718件)から3割増の2,282件にのぼりました。23年に入っても1月6日までに52件が判明しています。

 業種別では、来店客の減少、休業要請などで打撃を受けた飲食業が最多で769件に及びます。次いで工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業が558件、小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)が359件と続きます。このほか飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業が212件、インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル・旅館などの宿泊業が161件でした。

 コロナ破たんのうち倒産した4,754件を形態別にみると、破産が4,287件と構成比90.1%を占め、次いで民事再生法が172件(同3.6%)、取引停止処分が166件(同3.4%)、特別清算が107件、内整理が17件、会社更生法が5件でした。再建型の会社更生法と民事再生法の合計は1割未満にとどまり、業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半を占めました。

 足元では新規感染者数が再び増加傾向に転じ、今後の感染状況も不透明で、コロナ禍の終息はまだまだ見通せません。政府は新たな借り換え制度などの支援策をスタートしましたが、中小企業の過剰債務感は増していて、今後もコロナ破たんは増える可能性が高いのが現状です。
<情報提供:エヌピー通信社>