他者が関わる犯罪について供述する引き換えに罪が軽減される「司法取引」制度が、6月で開始3年を経過しました。脱税なども対象となることから、会社ぐるみの脱税などでの司法取引が増えることも予想されましたが、今までに取引が行われたのは、制度スタート直後の外国公務員贈賄事件、カルロス・ゴーン氏の不正疑惑、そして2019年に適用された都内アパレル企業の業務上横領の3件のみです。組織犯罪や大規模な汚職事件の解明に役立つと期待された同制度ですが、その実情は振るわないものとなっています。

 適用3件目となった業務上横領の判決で裁判長は、「司法取引によって得られた情報の信用性の判断に際しては、相当慎重な姿勢で臨む必要があると考えられる。極力、争点の判断材料としては用いない」と語りました。自己保身のための供述にはウソが含まれやすいとの見解で、制度の意義そのものに疑問を投げ掛ける言葉でもあります。取引で得た情報が裁判の証拠にならないものなのに司法取引が成立してしまえば、情報提供した本人が不起訴になるだけという「やり得」になることが懸念されます。司法取引は制度が軌道に乗れば全国の検察、そして警察へと利用範囲を拡大する予定でしたが、現状は東京地検特捜部の3件のみにとどまっています。
<情報提供:エヌピー通信社>