国税庁は、2020事務年度の相互協議の状況を公表しました。
それによりますと、2020事務年度(2020年7月から2021年6月までの1年間)は、前事務年度を15件(7%)下回る185件の相互協議事案が発生し、「事前確認」に係るものは146件で、全体の79%を占めており、「移転価格課税その他」に係るものは39件で、全体の21%を占めていることがわかりました。
国税庁では、納税者の予測可能性を高め、移転価格税制の適正・円滑な執行を図る観点から、事前確認に係る相互協議を実施しており、移転価格課税による追徴課税の大規模化が進む中、相互協議のニーズはますます高まるものとみられております。
上記の相互協議とは、納税者が移転価格課税等による国際的な二重課税を受けた場合、または受けるに至ると認められる場合に、国税庁と条約締結国の税務当局間で解決を図るための協議手続きをいいます。
また、事前確認とは、納税者が税務当局に事前に申し出た独立企業間価格の算定方法を税務当局が確認した場合、移転価格課税は行わない制度をいいます。
「移転価格課税その他」には、移転価格課税に加えて、恒久的施設(PE)に関する事案や源泉所得税に関する事案などが含まれます。
同事務年度の処理件数は155件で、前事務年度からは31件(17%)の減少となり、うち「事前確認」に係るものの処理件数は122件、「移転価格課税その他」に係るものの処理件数は33件、処理事案1件当たりに要した平均的な期間は30.3ヵ月(前事務年度29.4ヵ月)となりました。
処理件数155件を業種別にみてみますと、「製造業」が109件で最多となり、「卸売・小売業」が22件、「その他」が24件となりました。
また、対象取引別にみてみますと、「棚卸取引」が123件で最多となり、次いで「役務提供取引」が87件、「無形資産取引」が72件となりました。
繰越事案の相手国を国別にみてみますと、「米国」が19%で最多となり、次いで「中国」が17%、「インド」が15%、「韓国」が11%、「ドイツ」が7%の順となりました。
(注意)
上記の記載内容は、令和4年7月8日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。