エヌピー通信社:国の金融支援策 周知進まず

 金融機関に対し経営者の個人保証を外すよう求める国の「経営者保証に関するガイドライン」について、7割近くの経営者が内容を理解していないことが分かりました。国のほかの金融支援策も同様に認知されておらず、民間金融機関による周知が不十分であることが背景にあるとみられています。調査は東京商工会議所が東京23区内の中小事業者を対象に実施し、1,524者から回答を得たものです。

 中小企業庁が策定する「経営者保証に関するガイドライン」は、一定の条件を満たす場合に経営者の個人保証を免除するよう金融機関に求めた指針のこと。法人と個人が明確に分離されていることなどを条件に経営者による個人保証を求めないよう規定する内容で、2013年から導入されています。

 東商の調査によると、「経営者保証に関するガイドライン」について「名称のみ知っている」(32.5%)、「知らない」(36.0%)と、制度の内容を理解していない事業者が多数を占めることが分かりました。「名称・内容ともに知っている」とした事業者は31.5%にとどまっています。

 制度周知が進まない背景には、民間金融機関からの説明が不十分なことがあるようです。取引のある金融機関から「説明がなかった」とした事業者は45.9%と半数近くを占め、また「パンフレット等で周知されたが、説明された記憶はない」も11.8%に上りました。説明を受けた事業者は3割を下回り、「説明があった」は20.1%、「説明があり保証をはずした(はずす予定)」は8.4%にとどまりました。

 経営者保証に関するガイドラインに限らず、国の中小企業金融支援策に対する認知度は低いのが現状です。コロナ禍の影響で資金繰りが悪化した事業者に対し1年間の元金返済を猶予する「新型コロナ特例リスケジュール」については「知らない」が66.8%に上りました。また融資や補助金の申請に活用可能とされる経済産業省の企業診断ツール「ローカルベンチマーク」についても82.3%が知りませんでした。経営改善計画の策定にあたり税理士などの専門家費用の3分の2(上限20万円)が補助される「経営改善計画策定支援事業」についても、71.0%の事業者が把握していませんでした。
<情報提供:エヌピー通信社>