政府・与党は、菅義偉首相が推進している企業の脱炭素化やIT技術を活用した業務変革「デジタルトランスフォーメーション」(DX)に関する税制優遇措置を策定します。大企業の欠損金繰越控除の上限を引き上げ、新型コロナウイルスによる業績不振から早期に立ち直るよう後押しします。
首相は2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を国際公約に掲げました。カーボンニュートラルへの投資を成長戦略と位置づけ、投資を加速させる減税措置を新設します。
対象は、脱炭素化に資する製品製造への設備投資と、生産ラインの大幅な省エネ化の2類型を設定。前者は、電化製品に組み込まれるパワー半導体や再生エネの普及を支える燃料電池の開発などを、後者は工場の外部電力の再生エネへの切り替えなどを想定しています。
コロナ禍で取り組みの遅れが浮き彫りとなったデジタル化に関しては、クラウド技術の活用や売上高の一定割合以上の投資、サイバーセキュリティー対策の実施などの要件を満たした投資に対して法人税の軽減を図ります。これまで各企業が部門ごとにIT投資を進めた結果、ITシステムの「縦割り化」が進んだとして、クラウド技術の活用による社内外との連携を重視します。
こうした脱炭素化やDX化に加え、事業の再構築に向けた投資を企業に促すため、欠損金の繰越控除に特例措置を設けます。大企業は最長10年間の繰越期間で、控除上限が所得の50%までとなっていますが、5年間100%の控除を時限的に認めます。
<情報提供:エヌピー通信社>