財務省が発表した2020年度の一般会計決算で、21年度への繰越金が過去最大の30兆7,804億円となりました。新型コロナウイルス禍に対応するための巨額な予算が、年度内に使い切れなかったためですが、財政の専門家は「規模ありきで組まれた補正予算には、新型コロナとは必ずしも関係ない事業も多く含まれており、本当に必要な予算だったのか政策の中身を検証する必要がある」と指摘しています。

 コロナ禍に見舞われた20年度は、3回の補正予算を組んで歳出規模は過去最大の175兆円超に膨らみましたが、2割弱を使い残したことになります。特に今年1月末に成立した20年度第3次補正予算は約19兆円で、「2カ月あまりで使い切るのは無理がある」(財務省関係者)のが実情です。

 国の予算は、その年度内に使い切る単年度主義が原則。これは、財政に対する民主的なコントロールを確保する観点から、国会で審議・承認された国費の歳出権限が及ぶのは当年度限りとする規定に基づいていて、使い残した予算は国庫に返納しなければなりません。

 しかし、こうした原則を機械的に適用していては、予算の効率的な執行に支障をきたすケースがあります。そのため財政法には、自然災害などやむを得ない時や、支出が終わらない前提で事前に国会の議決を経た場合に限り、予算を翌年度に繰り越せる特例があります。この特例により、毎年度数兆円規模の予算が翌年度に繰り越されています。

 毎年度多くの繰り越しが発生する背景には、当初予算に加え、経済対策などで年度末に多額の補正予算を組むことが常態化している現状もあります。財務省の元幹部は「政策効果に疑問符の付く事業が査定の甘い補正予算に多く詰め込まれ、毎年度多額の繰越金が生じる状況が続けば、財政規律の緩みを招きかねない」と警鐘を鳴らしています。
<情報提供:エヌピー通信社>