国税庁:令和6年度における国際事案の査察の概要を公表!

 国税庁は、同庁ホームページにおいて、令和6年度における査察の概要を公表しました。
 その中で、国際事案についてまとめております。

 それによりますと、経済社会のグローバル化の進展に伴い、国境を越える取引が恒常的に行われ、資産の保有や、運用の形態も複雑・多様化しているところ、国際取引を利用した脱税への対応が求められています。
 このような状況の中、海外事業における収入を除外していた事案や、海外に不正資金を隠していた事案などの国際事案に積極的に取り組み、令和6年度は20件を告発しました。

 また、国際事案では租税条約等に基づく外国税務当局等との情報交換制度を活用しました。
 具体的な国際事案の概要として、
①海外法人が運営する医薬品等のインターネット販売事業に係るコンサルティング報酬について、売上げから除外するとともに、海外預金口座で留保することにより、所得税を免れていたこと
②アフィリエイト収入について、売上げから除外するとともに、得た資金の一部を海外の取引所において暗号資産に交換することにより、所得税を免れていたこと
③コロナ禍において、ワクチン接種用のシリンジ(注射器筒)などを輸入販売していた業者が、海外からの商品仕入高を水増し計上する方法により、法人税を免れていたこと
④精力剤のネット販売をする業者が、海外法人から仕入れた商品に係る売上代金を関係会社の口座へ振り込ませる方法により、法人税を免れていたこと
⑤設計・製造した光学部品に係る国外売上げについて、商品の引渡しが完了していたにもかかわらず売上げに計上しない方法により、法人税を免れていたこと
⑥不正加担法人に依頼して架空の外注加工費を計上する方法により、法人税及び所得税を免れ、得た資金の大半を海外のギャンブルに充てていた事案が挙がっております。

 なお、国税庁では、悪質な脱税者に対しては刑事責任を追及し、厳正な査察調査を実施しております。
 令和6年度においては、全体で告発した査察事案に係る脱税総額は82億円、1件当たりの脱税額は84百万円にのぼり、告発率は65.3%となりました。
(注意)
 上記の記載内容は、令和7年8月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。