財務省はこのほど、2023事務年度の「国税庁実績評価書」を公表しました。国税庁の取り組みに対する財務省の〝通信簿〟ともいえるもので、例年同様、全体として高い評価を与えていますが、一部の実績については有識者から〝ダメ出し〟されています。
国税庁が達成すべき実績目標として財務省が設定しているのは、大きく分けて①内国税の適性かつ公平な賦課及び徴収、②酒類業の健全な発達の促進、③税理士業務の適正な運営の確保――の3つの取り組み。評価は「目標超過達成(S+)」、「目標達成(S)」、「相当程度進展あり(A)」、「進展が大きくない(B)」、「目標に向かっていない(C)」の5段階で行われ、①②はA評価、③はS評価でした。この3つの大目標を細かく分類した小目標でもすべてSもしくはAの評価で、国税庁の1年間の実績を全般的に認めるかたちとなっています。
ただし、有識者で組織する「財務省政策評価懇談会」からは反省点も指摘されています。例えば国税当局が近年力を入れている税務行政のデジタル化に関する取り組みでは、e-Taxの満足度に関するアンケート調査で利用者から上位評価を得た割合が低い点を問題視。実績は56.1%で目標の80%には遠くおよばず、さらに前年度からは5ポイント、前々年度からは19.1ポイント減となっていることに対し、「(e-Taxの)利用満足度は非常に重要な指標」として、「前年から上昇しなかったことについては、改善に向けてご尽力いただきたい」と取り組みの強化を促しました。
税務行政のデジタル化に関する実績ではほかに、税務申告でのe-Taxの利用割合が目標を超えたのは法人消費税の95.2%(目標92%)だけで、所得税69.3%(同71%)、法人税91.7%(同92%)、個人消費税73.5%(同75%)、相続税37.1%(同40%)と軒並み目標を下回りました。ただ、いずれも前年度の実績は上回っています。この点について懇談会は、「利用割合について、各国税局や地域によって数字が異なるのではないか。どのような理由でその地域によってe-Taxが進んでいるのか遅れているのかを比較することで、国税局同士の競争が起き、さらにe-Taxの利用が進むことが望ましい」と注文をつけました。
<情報提供:エヌピー通信社>