エヌピー通信社:マイナンバー問題で国税庁に行政指導

 マイナンバー制度でトラブルが続出していた問題で、個人情報保護委員会は9月下旬、国税庁やデジタル庁に対して「必要かつ適切な措置を講じていたとはいえない」として再発防止を求める行政指導を行いました。

 マイナンバーを巡っては、給付金を受けとるための「公金受取口座」で誤って他人の口座とマイナンバーがひも付けられていたケースが1千件近く見つかっています。自治体の窓口などで本人や自治体の支援員が端末を使って手続きする際、本来行うべきログアウトを忘れたことなどが原因とのことです。またコンビニの証明書発行サービスでも、本人ではない人に誤交付してしまうトラブルが発生していました。

 問題の発覚を受けて個人情報保護委員会は7月からデジタル庁に立入検査を実施し、問題の所在や事実関係を調べていました。その結果、同委員会は、制度運営に携わったデジタル庁、国税庁、システム開発会社、行政サービスを運営する地方自治体にそれぞれ行政指導を行いました。

 委員会の調査結果によれば、国税当局は今年1月下旬、所得税の確定申告に当たって公金受取口座を登録した納税者に対して、口座情報を同姓同名の別人にひも付けて登録していました。委員会はミスの原因として、国税庁内で策定された手順書では「漢字氏名・カナ氏名・生年月日」の3つの情報で本人特定をするところ、この手順が徹底されずカナ氏名のみで検索したため同姓同名の別人が選択されたことを挙げました。加えて、データの誤入力が判明した際には庁内業務データとデジタル庁連携の公金受取口座データの双方を削除しなければならないところを、連携データが残されたままだったことも策定された手順に従っていなかったそうです。
<情報提供:エヌピー通信社>