会計検査院は２０２０年度決算の検査結果を報告し、税金の無駄遣いや不適切経理、資金の積み残し計２１０件、２，１０８億円分の指摘をしました。新型コロナウイルスの感染が拡大し、緊急事態宣言中の実地検査をすべて中止したため、指摘件数は前年度比３８件減少し、２年続けて最少。省庁別では厚生労働省への指摘が５９件で最多、以下、国土交通省２７件、農林水産省２５件、文部科学省２０件と続きます。
２０年初めから感染が拡大した新型コロナ対策事業について初めて検査。厚労省が福祉施設や妊婦用、全戸配布用、文部科学省が学校用に用意した布マスク、通称「アベノマスク」について、配布後に汚れの付着などがあるとの報告が寄せられたことから、両省は検品作業を追加し、計約２１億４千万円を費やしました。福祉施設や全戸配布用の布マスクは、今年３月末時点で倉庫に約８，２００万枚（約１１５億円相当）が保管されたままで、２０年８月～２１年３月の保管料は約６億円に上りました。
また、収入が減った事業者らの資金繰りを支える持続化給付金事業では、事業を請け負った一般社団法人「サービスデザイン推進協議会」から大手広告代理店等に委託された後、最大で９次下請けまで再委託が繰り返されました。契約締結時の契約総額７６９億円のうち９９．８％が下請けに再委託されていました。
旅行を促す「ＧｏＴｏトラベル」事業では、１１月以降に東京都や札幌市など５都市が対象から外れ、キャンセルされた旅行代金の３５～５０％は観光庁が「取消料対応費用」として、業界団体で作る「トラベル事務局」に支給することとし、２１年２～７月に４０７万件、計１，１５７億円が支払われました。しかし、食材卸やリネン業者など関連業者にも公平に配分されるよう観光庁は要請していたものの、実際に配分されたかどうかを把握していなかったそうです。
＜情報提供：エヌピー通信社＞
