2021年度税制改正法が4月1日に施行されたことを受けて、改正法に盛り込まれた様々な税務書類への押印を不要とする見直しが同日にスタートしました。今後は、相続や贈与関係など実印と印鑑証明書を求める一部の手続きを除いて、原則押印が不要となります。当面は押印欄が記載された書式なども使用されるものの空欄で問題ありません。
これまで国税通則法124条第2項では、税務書類には法人代表者や提出者の押印を「しなければならない」と定めてきました。しかしコロナ禍などを理由に行政手続きのデジタル化が進められる中で、税務書類への押印手続きについても〝脱はんこ〟の見直しが行われることとなりました。
押印不要となる書類は、所得税の確定申告書や法人税申告書など申告書をはじめ、各種届出など多岐にわたります。また納税者本人に代わって納税証明書の交付請求をする時に求められる委任状についても、押印は不要となります。
一方で押印を引き続き求められる例外となるのが、①担保提供関係書類および物納手続関係書類のうち、実印の押印および印鑑証明書の添付を求めているもの、②相続税および贈与税の特例における添付書類のうち財産の分割の協議に関する書類、③特定個人情報の開示請求や閲覧申請手続きについての委任状――などとなります。
国税庁によれば、今後もしばらくは押印欄のある各種書類が税務署の窓口などでは配布されるそうです。またホームページ上に掲載している申告書などの様式についても、押印欄のないものに順次置き換えていくとしています。これらの押印欄の記載されている書類を提出する場合にも押印は必要なく、空欄で問題ありません。仮に押印していても修正の必要はなく、押印の有無で書類の効力に影響は生じないそうです。ただし振替依頼書やダイレクト納付利用届出書など金融機関に出す書類では、金融機関からの求めに応じて銀行印が必要となる点に注意したいところです。
<情報提供:エヌピー通信社>