配車サービス大手のUber(ウーバー)は、これまで業務委託先の個人事業主として扱ってきた運転手について、今後は英国では従業員として扱うことを発表しました。同国最高裁が2月に下した「個人事業主ではなく従業員として扱うべき」との判決を受けたもの。対象となる約7万人の運転手には最低賃金を保障するほか、休暇手当や年金への加入機会も提供します。社員を〝外注化〟する動きは日本国内でも起きつつありますが、雇用と外注の境界線を明確にしておかないと否認され、雇用側として責任を問われかねない状況です。
これまでウーバーは、同社のプラットフォームを利用して運転を行うドライバーたちは従業員ではなく個人事業主だと主張してきました。しかし英最高裁は、①運賃をウーバーが設定し、運転手が稼げる金額を規制していること、②ウーバーが労働条件を決定し、運転手に発言権がないこと、③運転手が乗車拒否をしたときにウーバーがペナルティーを科せるなど業務内容を制約できること――などを理由に、運転手とウーバーは実質的に雇用関係にあると認定しました。
今回の条件見直しにより、ウーバー運転手は英国の最低賃金を保障されるほか、一定の条件を見直せば年金制度に自動的に加入することとなります。運転手の待遇を巡る訴訟は他の複数の国でも起きていて、英国での判断がどのように波及するかが注目されるところです。
日本では配車サービスのウーバーは展開されていませんが、同様の仕組みを用いた「ウーバーイーツ」が都市部を中心に普及しつつあります。同サービスの配達人は現在ではウーバーイーツから事業委託を受ける個人事業主として扱われています。しかし今後英国と同様に法的闘争に発展する可能性は十分に考えられます。
<情報提供:エヌピー通信社>