エヌピー通信社:所得税調査で発覚した不正の事例

 国税庁が公表した2024事務年度(24年7月~25年6月)の「所得税及び消費税調査等の状況」には、具体的な不正の事例が紹介されています。これは、国税当局が類似の不正に目を光らせているという〝警告〟でもあります。

 国税当局は譲渡所得のみを申告していたAについて、国外送金等調書で国外からの送金が多額に上り、外国の金融機関口座を持っていることが見込まれたことから、調査を開始しました。Aは過去に国外の企業に勤務していて、その国に居住用不動産を購入していたと説明したため、当局が使用状況を確認したところ、管理会社を通じてこの不動産の貸付けによる賃料を得ていたことを当局は把握。また、別の外国で開設した金融機関口座で投資信託の運用収益や預金の利子を受け取っていたこともわかりました。

 またBは、高額なトレカの販売で収入を得ていると想定されたものの、所得税の申告がなかったため、国税当局が調査対象に選びました。調査の結果、Bの自宅から大量のトレカや多額の現金を発見。Bは販売利益があったことを認めたものの、領収書などの記録や収支計算書類の保存については曖昧な回答でした。国税当局がパソコンなどのデータを確認したところ、販売したトレカ情報を付けた請求金額データを顧客ごとに集計してメールを送信していたことを把握しました。さらに追及し、利益を隠すために調査前に収支計算書類を破棄していたことを突き止めました。

 複数店舗を展開するキャバクラ店の実質的な経営者と想定されるCが申告していなかったため、国税当局が調査したという事例もあります。Cや従業員に質問調査などを行ったところ、営業許可申請や取引決済を従業員名義で行っていたものの、売上の管理や経営方針の決定などはCが行っていたため、Cが実質的な経営権を持っていると判断。Cを追及したところ、申告していなかったことを認めたため、店の営業に関係する事業所得に課税したほか、事業に関係する消費税、コンパニオンに支払った報酬の源泉所得税を課しました。
<情報提供:エヌピー通信社>