エヌピー通信社:脱税スキームで懲役3年

 不動産会社などの経営者らに法人税等の脱税を指南したコンサルティング会社の代表取締役の被告に対し、東京地裁(海瀬浩章裁判官)はこのほど、懲役3年の実刑判決を言い渡しました(求刑は同5年)。

 判決によると、被告は当該コンサルティング会社と、自身が実質経営する営業代行会社の2社を利用して、営業代行会社への貸し付けを業務委託費の支払いに仮装させる脱税スキームを考案。コンサルティング会社と契約した東京の不動産会社など全国の8社の経営者らと共謀し、計約16億5,500万円の所得を隠して法人税など同5億300万円を脱税しました。このうちの3社では架空の課税仕入れを計上して、消費税同3,700万円の不正還付を受けていました。

 判決は「本件スキームは実質的な貸し付けである送金を業務委託費の支払いに仮装するもので、複数法人の間の業務委託契約書などを作成するという秘匿工作を伴っており、手口は巧妙である。首藤被告はこうしたスキームを考案し、業務の一環として約2年半にわたり各共犯者に積極的にその利用を持ち掛けて犯行を主導するとともに、職業的に犯行に及んでおり、その刑事責任は重い」と指弾。そのうえで「被告が一貫して事実を認めて捜査などに積極的に協力していることや、本件犯行で報酬のような直接的な利得を得ていないことなどを考慮しても、同被告には実刑をもって臨むほかはない」と結論付けました。
<情報提供:エヌピー通信社>