日本政策金融公庫はこのほど、「米国の関税引き上げによる中小企業への影響に関する調査」の結果を公表しました。調査は6月中旬に実施したもので、日本公庫の融資取引先である中小企業1万3,936社を対象としました。有効回答はこのうち4,846社。回答率は34.8%。米国関税による「プラスの影響」があると回答したのはわずか0.6%で、「マイナスの影響」は34.9%、「どちらともいえない」は64.5%でした。従業員規模別にみると、「マイナスの影響」があるとの回答は規模が大きい企業ほど多くなっています。
「マイナスの影響」と回答した企業では、具体的な影響があった項目として「仕入価格の上昇」(46.7%)、「取引先の輸出量の減少」(41.8%)、「サプライチェーンの混乱による調達難」(13.8%)などを挙げています。製造業では「取引先の輸出量の減少」(59.7%)が、非製造業では「仕入価格の上昇」(61.6%)がそれぞれ最多でした。
企業の売上全体に占める輸出割合別にみると、「マイナスの影響」との回答は輸出比率の高い企業ほど多くなっています。輸出比率25%超の企業では「マイナスの影響」が59.6%を占めていて、影響のあった項目としては「取引先の輸出量の減少」と「自社の輸出量の減少」(ともに51.0%)が最も多く挙げられています。
「マイナスの影響」を受けた企業が、すでに実施している対応策としては「経費(原材料・部品等を除く)の削減」が23.9%、「仕入れ価格上昇分の販売価格への転嫁」が21.1%、「国内での販売強化」が13.1%。その一方で、「実施済みの対策はない」とする回答も45.8%を占めました。
今後、実施を予定している対応策としては、「仕入れ価格上昇分の販売価格への転嫁」(28.25%)、「経費(原材料・部品等を除く)の削減」(28.18%)、「国内での販売強化」(15.6%)などが挙げられました。一方で「実施予定の対策はない」とする回答も33.5%を占めています。
<情報提供:エヌピー通信社>