国税庁は、同庁ホームページにおいて、令和6年度における査察の概要を公表しました。
その中で、無申告事案(無申告事案には、偽りその他不正の行為を伴う無申告ほ脱犯のほか、不正行為を伴わず、故意に申告書を提出しないで税を免れる単純無申告ほ脱犯の犯罪類型がある)についてまとめております。
それによりますと、納税者の自発的な申告・納税を前提とする申告納税制度の根幹を揺るがす無申告事案について積極的に取り組み、令和6年度は13件を告発しました。
そのうち、不正行為はないものの、故意に申告書を提出しないで税を免れた単純無申告ほ脱事案は8件ありました。
また、無申告事案の概要として、
①農作業の請負等に係る収入を得ていたにもかかわらず、売上先に対して事業実態のない複数の関係法人名義の請求書を発行し関係法人名義の預金口座に振込入金させる方法により、課税売上げを秘匿した上で、消費税の確定申告書を提出しないまま法定納期限を徒過させ、消費税を免れていたこと
②動画配信によるサイト運営会社からの使用料収入やネットショップでの商品販売収入を得ていたにもかかわらず、所得税の確定申告書を提出しないまま法定納期限を徒過させ、所得税を免れていたこと
③自身が代表を務める法人の自己保有株式を関係法人へ譲渡するなどし、譲渡収入を得ていたにもかかわらず、所得税の確定申告書を提出しないまま法定納期限を徒過させ、所得税を免れていたこと
④新型コロナウイルス感染症の影響に伴う支援資金融資の事務手続代行に係る手数料収入を得ていたにもかかわらず、法人税の確定申告書を提出しないまま法定納期限を徒過させ、法人税を免れていたこと
⑤健康グッズの連鎖販売取引(いわゆるネットワークビジネス)の販売代理店を営み、代理店報酬等を得ていたにもかかわらず、所得税の確定申告書を提出しないまま法定納期限を徒過させ、所得税を免れていた事案が挙がっております。
なお、国税庁では、悪質な脱税者に対して厳正な査察調査を実施し、令和6年度において、全体で98件を検察庁に告発しております。
(注意)
上記の記載内容は、令和7年7月14日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。