令和7年度税制改正:結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置とは

 令和7年度税制改正により、直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置の適用期限が2年延長され、適用期限が令和9年3月31日までとされます。

 こども家庭庁「令和7年度税制改正の概要」によりますと、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置による改正の背景として、この措置の利用件数は依然低迷状況にあることや、世代を超えた格差の固定化につながりかねないこと、幼児教育・保育の無償化など子育てに関する公的な支援が進んだことなどから、この制度は大きく普及しないまま制度廃止に向けての議論が進んでおりました。

 令和7年度税制改正では、関係省庁において、子育てをめぐる給付と負担のあり方、真に必要な対応策について改めて検討すべきとされる一方で、令和8年度までは「こども未来戦略」の集中取組期間であり、こども・子育て政策を総動員する時期にあり、これらのことを勘案し、令和7年度税制改正においても適用期限が2年延長されました。

 なお、贈与税が課税される場合として、
①目的外で資金を引出した場合には贈与税が課税される
②契約が終了したときにその口座に結婚・子育てに関する資金として使われなかった残額があるときにはその残額に贈与税が課税される
 この場合において、令和5年4月1日以後に取得する信託受益権や金銭等に係る贈与税率は、特例税率ではなく一般税率が適用されます。

 また、相続税が課税される場合として、結婚・子育て資金管理契約期間中に贈与者である両親や祖父母が亡くなった場合において、結婚・子育て資金として使われなかった残額があるときには、その残額は受贈者が相続また遺贈により受け取ったものとみなされ、相続税の課税対象となります。
 この場合において、受贈者が法定相続人ではない孫等であるときは、令和3年4月1日以降に取得した資金についての相続税は相続税額の2割加算の規定が適用されますので、該当されます方はあわせてご注意ください。
(注意)
 上記の記載内容は、令和7年6月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。