地方財政審議会はこのほど、「『地方創生2.0』の推進と持続可能な地方行財政の確立のための地方税財政改革についての意見」を取りまとめ、総務大臣に提出しました。「地方創生2.0」は、地域が自立して発展するために必要な戦略で、地域住民が参加できるかたちでの施策が求められています。今回取りまとめた意見書は、財源の多様化や効率的な資源配分の重要性を強調した内容で、地方税の見直しや国からの補助金の在り方などについて提言しています。
意見書では「今後の地方財政の在り方」として、①経済・物価動向等を踏まえた一般財源総額の確保②持続可能な地方税財政基盤の構築③地方財政の健全化――の3点への取り組みが重要課題であると指摘。地方自治体が、物価高など避け難い歳出の増加に直面するなか、「官庁営繕単価・委託料」「人件費」「金利負担」「地域医療費」「老朽インフラ更新費」「防災・減災対策費」「標準準拠システム運用費」といった経費を地方財政計画へ適切に計上し、一般財源総額を増額・確保するべきだとしています。
「ガソリン暫定税率」に関する税制改正に際しては、国に「地方自治体の声も聞きながら丁寧に進めるべき」だと提言。「車体課税」については「地方の安定的な財源を確保することを前提に、課税趣旨などを踏まえた税制の構築に向けて検討を深めていくことが重要」だと指摘しています。「地方消費税を含む消費税」については、「その4割近くが地方の貴重な税財源」であると強調したうえで、「地方消費税は、今後、社会保障サービスのさらなる増大が見込まれるなか、地方における社会保障の安定財源を確保するために、引き続き重要な役割を果たすべき」「拡大しつつある地方自治体間の税収の偏在や財政力格差の状況について原因・課題の分析を進め、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築に向けて取り組むことが重要」だとして、参院選を前に与野党からあがっている〝消費税減税論〟の声に釘を刺す内容です。
<情報提供:エヌピー通信社>