2024年度税制改正により、GX(グリーントランスフォーメーション)、DX(デジタルトランスフォーメーション)、経済安全保障という戦略分野において、国として特段に戦略的な長期投資が不可欠となる投資を選定し、それらを対象として生産・販売量に比例して法人税額を控除する戦略分野国内生産促進税制を創設します。
この背景には、生産性向上・供給力強化を通じて潜在成長率を引き上げるため、中長期的な経済成長を牽引し、真にわが国の供給力強化につながる分野については、集中的に国内投資を促していくことが重要との考えがあります。
そのための手段として、具体的な対象物資は、電気自動車等(蓄電池)、グリーンスチール、グリーンケミカル、SAF(持続可能な航空燃料)、半導体とし、物資ごとに単価が設定されます。
措置期間を通じた控除上限は、既設の建屋等を含む生産設備全体の額とするほか、各年度の控除上限として、当期の法人税額の40%(半導体については当期の法人税額の20%)の上限が設けられます。
具体的な税額控除額は、
①電気自動車:1台当たり40万円
②グリーンスチール:1トン当たり2万円
③グリーンケミカル:1トン当たり5万円
④SAF:1リットル当たり30円
⑤半導体:1枚当たり最大2万9,000円となります。
企業の投資の中長期的な予見可能性を高める観点から、措置期間を計画認定から10年間の措置とした上で、赤字の場合は黒字になるまで4年間(半導体は3年間)の税額控除の繰越期間を設けます。
なお、本税制の効果を高めるための措置として、適用にあたり、一定の賃上げ(前年度から給与総額を1%以上増やす)・設備投資(当期償却費総額の40%超)を行っていることを要件とします。
GX分野に該当する物資に係る措置については、GX経済移行債を活用して財源を確保し、確保された財源の範囲内で税額控除を行います。
本税制は、GX経済移行債という税制以外の枠組みの中で財源を確保するとの特殊な性格を持つものであるため、こうした特殊性を踏まえ、控除上限、措置年数、繰越年数等についても、これまでの投資減税の考え方からは一線を画した措置を講ずるとしております。
今後の動向に注目です。
(注意)
上記の記載内容は、令和6年8月9日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。