高度な偽造防止技術を採用した新しいデザインの紙幣(日本銀行券)が発行されました。原材料費の高騰など物価高の影響も加わり、新紙幣の製造コストは旧紙幣より増しています。
紙幣は国立印刷局で製造して、発行を担う日銀が製造費用を支払って引き取っています。日銀は各紙幣の1枚あたりの製造費は非公表としていますが、公表されている1年間の製造費から推定することができます。
新紙幣のみを製造した2023年度の「銀行券製造費」は619億2,509万円で、製造した枚数は計30億3千万枚でした。1枚当たりの原価は約20.4円。一方で旧紙幣のみを製造した21年度の製造費は542億9,169万円で、製造枚数は計30億枚。1枚あたりの原価は約18.1円で、約13%(2.3円)上昇したと言えます。
日銀の担当者は「3Dホログラムなど偽造防止のための新技術を取り入れたうえ、原材料などの価格高騰で製造費用が膨らんだ」と背景を説明します。紙の原料となるミツマタとアバカ(マニラ麻)はいずれも輸入に頼っている状況です。ミツマタは中四国地方の国産ではまかないきれず、ネパールや中国から輸入。アバカもフィリピンなどから輸入しています。
材料は年間でまとめて大量購入するため、円安の影響は不透明な部分もありますが、輸入する紙の原材料費を押し上げている可能性は拭いきれていません。24年度は新紙幣を計29億5千万枚(一万円札約18億枚、五千円札約2億枚、千円札約9億枚)製造する見込みで、お札の原価の上昇は今後も無視できなさそうです。
<情報提供:エヌピー通信社>