エヌピー通信社:ヨンロク調査のシーズン真っ盛り

 税務調査が実施される時期は法律で定められているわけではなく、帳簿等に疑義が生じたときなどに随時実施されるものですが、特に調査が多い季節というのは存在します。それは「春」と「秋」で、これには国税組織の年間の業務サイクルが影響しています。

 国税組織は7月から翌年の6月までの1年間を「事務年度」という単位でくくり、7月を新年度の最初の月としています。人事異動もそのタイミングで行われるため、国税組織にとって年度末から新たな部署になじむまでの6月~8月は調査に出にくい時期と言えます。また2~3月の確定申告期は、調査に対応する余裕が納税者や税理士になく、当局も確定申告への対応に注力するため、やはり調査は少なくなります。となれば、残る秋と春が自然と「調査シーズン」になるわけです。

 もっとも、秋と春の調査では違いがあります。秋に行われる調査は、7月に新年度を迎えた国税職員が数カ月かけて準備を済ませ、満を持して乗り出す〝本腰〟の調査。一方、4月から6月にかけて行われることから「ヨンロク調査」とも呼ばれる春の調査は、各部署や人員に割り振られたノルマを6月末までに達成するという意味合いが強いものです。そのため1件当たりの調査期間は秋に比べて短いと言われます。もっとも短いとはいえ申告漏れを見逃してくれるわけではないので、調査対応はぬかりないようにしたいところです。
<情報提供:エヌピー通信社>