エヌピー通信社:税収の試算 27年度に80兆円

 財務省は、名目3%の経済成長を続けた場合に2027年度の税収が約81兆円に達すると試算しています。試算は24年度当初予算案を基にした機械的なものですが、23年の成長率は前年比5.7%増だったため、試算を超える可能性も十分あります。

 財務省は衆院予算審議の参考資料として試算を提出しました。25~27年度以降の名目経済成長率を3%、消費者物価上昇率を2%と仮定した場合、税収は27年度に80兆8千億円に達します。

 試算には24年度税制改正の内容にも反映しています。24年度当初予算案の税収は69兆6千億円で、試算では約11兆円の税収増。名目5%の経済成長率だった場合の税収は、86兆1千億円まで増えるそうです。国債の想定金利も1.9%から2.4%に引き上げて試算しました。このため、27年度の利払い費は24年度当初予算比で4兆6千億円増の15兆3千億円となり、税収に占める利払い費の割合は5%程度上昇。増えた税収の4割程度は、金利の変動がなければ本来支払う必要のない利払い費の増加分に当てられることになりそうです。

 政府は昨年末、防衛費増額に向けた税制措置を25年に開始することを見送りました。防衛力整備計画では、所得、法人、たばこ税の3税の増税で、27年度以降に1兆円強を確保する枠組みを決めています。試算は防衛増税分も織り込んでいて、新たな経済施策や税制改正などで変動する可能性はあります。

 当初予算の規模は27年度に123兆円を超えると推計しており、名目経済成長率を1.5%と仮定しても、120兆円を突破するとのこと。新規国債発行額は3%成長の場合は約35兆円で、24年度と同水準でした。少子高齢化の進行で社会保障関係費も拡大傾向が続くため、社会保険料の仕組みと合わせた税と社会保障の関係を精査することが求められています。
<情報提供:エヌピー通信社>