新型コロナウイルスの第9波が収束に向かい、一定の落ち着きをみせている一方で、インフルエンザが大流行しています。インフルエンザが職場で流行してしまうと業務に深刻な影響を与えることから、企業によっては従業員の予防接種費用を負担するケースもあるようです。税務上で気になるのは、会社の負担分が従業員への経済的利益、つまり「従業員への給与」に当たるとして源泉徴収する必要があるのかという点です。
これについて国税庁は、「会社には従業員の健康管理に配慮する責任もある」と負担分の費用性を認めたうえで、「接種を希望する社員一律に費用負担するようなルールがあり、全額負担であっても予防接種として常識的な金額の範囲内であれば、経済的利益には当たらない」としています。一部の役員のみ費用を負担するなどの偏りがない限りは、福利厚生費などとして処理することが可能というわけです。
一方、個人がインフルエンザ予防接種など疾病の予防のために要した費用は、原則として医療費控除の対象にはなりません。医療費控除は病気の「治療」を対象としたものであり、「予防」はその限りではないというのが理由です。ただしB型肝炎ワクチンの接種費用などにおいて、患者と同居する親族が受けるケースなどは医療費控除の対象とすることが認められています。
<情報提供:エヌピー通信社>