エヌピー通信社:経団連「消費増税は有力な選択肢」

 日本経済団体連合会(経団連)は9月、2024年度税制改正に関する提言を発表しました。岸田政権が政策の目玉に掲げる『異次元の少子化対策』の財源について「中長期的な視点からは、消費税の引上げは有力な選択肢の一つ」と盛り込んでいます。

 岸田文雄首相は、少子化対策のうち3年間で集中対策する『加速化プラン』の財源について「消費税を含め新たな税負担は考えていない」と明言しています。ただ、6月に政府が発表した経済財政運営と改革の基本方針『骨太の方針』の策定に向けた議論では、与党内でも「将来に責任を持つ財源なら増税を明記しないのは反対」などの声が上がっていました。

 経団連の提言では、消費税について「社会保障財源としての重要性が高い」と強調。その上で「実施時期と上げ幅については、デフレからの完全な脱却を見据えながら、経済情勢を踏まえて検討する必要がある」と注文しました。

 政府の防衛費増額に向けた税制措置は所得税と法人税、たばこ税が対象となっています。提言では「法人税における負担の増加の時期と水準については慎重に検討していくべきである」とし、「税制措置は同時に実施することが基本」としました。

 法人税に関しては、企業の持続的な成長に向けて、23年度末で期限切れとなる賃上げ税制の延長と拡充を求めました。他にもカーボンニュートラル投資促進税制などの延長が必要としました。

 産業育成に向けては、スタートアップ企業への出資で株式取得額の25%を所得から控除できる「オープンイノベーション促進税制」や新興企業の人材確保の手段となるストックオプションに関する税制の使い勝手を向上させることなども求めています。
<情報提供:エヌピー通信社>