エヌピー通信社:国税庁概算要求、経済デジタル化対応に注力

 国税庁が2024年度に向けた機構・定員要求と予算の概算請求の内容を明らかにしました。インボイス制度への対応、消費税不正還付や国際的な租税回避への対応などのため約1,200人の増員を要求したことに加え、経済取引のデジタル化に対応して調査や徴収に当たる新部署を東京国税局に設置するよう求めました。

 人員と機構を要求する上で国税が重視した項目は、「インボイス制度の円滑な導入および制度の定着ならびに消費税不正還付への対応」、「新たな国際課税ルール導入ならびに国際的な租税回避等への対応」、「経済取引のデジタル化等による調査・徴収事務の複雑化への対応」、「さらなる酒類業振興のための体制整備」など。国税庁はこれらの対応のために1,191人の増員要求をする一方で、定員合理化目標数として1,140人を掲げているため、純増要求数は51人となりました。

 機構要求の内訳を見ると、経済取引のデジタル化への調査・徴収対応のため、東京局に「査察情報技術解析課(仮称)」を新設。また全国の国税局に課長補佐と情報技術専門官を置き、新規性の高い商取引などの分析、課税に当たります。

 OECD(経済協力開発機構)が主導する国際課税の新ルールに対応するため、国税庁に国際企画官を置くほか、国際取引への徴収体制の強化のため、国税庁に新ポストとして国際徴収調整官(仮称)を設置します。そのほか全国の国税局に課長補佐も増員する構えです。

 24年度の予算に向けた概算請求では、前年比96.5%となる6,193億2,600万円を求めました。内訳をみると、国際化対策経費の11億9,100万円が前年度から5%近く増えています。また、酒類業振興事業経費が前年比6割増と伸びました。
<情報提供:エヌピー通信社>