国内のブロックチェーン関連団体が、2024年度税制改正要望を金融庁などの関係省庁に相次いで提出しました。23年度税制改正では自社で保有する自社発行トークンを期末時価評価の対象から除外するのみにとどまったため、暗号資産の更なる利用拡大やビジネス環境整備に向けた改正を訴えています。
税制改正要望を提出した3団体の求める内容はおおむね一致しています。一つは暗号資産への分離課税の適用。現在、暗号資産の取引で得た利益は雑所得として課税されます。税率は5~45%の7段階。株式など他の金融商品は一律20%ですが、住民税を合わせた最高税率は所得額が4千万円以上の場合で55%で、投資抑制の大きな要因となっています。20年5月施行の改正金融商品取引法では暗号資産のデリバティブ取引が規制対象に加わりましたが、税制上は金融商品と同様に扱われず、整合性が取れていないと要望書では主張しました。
さらに、「損失を出した年の翌年以降3年間、その損失を繰り越して、翌年以降の暗号資産に係る所得金額から控除することができるようにすること」と要望しています。また、相続した暗号資産を売却した際に相続税と所得税の負担が大きくなる場合があるため「取得加算の特例」の対象とすることを求めました。同特例は、相続後3年10カ月以内に相続資産を売却した時に相続額の一部を取得費に加えることで税負担を軽減する措置です。
他にも、暗号資産同士の交換に対する課税を撤廃もしくは法定通貨に交換した時点でまとめて課税することなどを要望しています。
<情報提供:エヌピー通信社>