国税庁が2022年度の査察調査の実績を公表しました。コロナ禍で調査が減少した前年から告発件数、脱税額ともに大幅に増加して、告発率も74.1%と約15年ぶりの高水準を記録しています。
「税務調査」という場合は通常、国税通則法74条の2に規定された「質問検査権」の行使を指すことがほとんどです。同条によって調査官は納税者に質問でき、帳簿書類の検査や提出を求めることも可能となっています。しかし、故意に不正な手段を用いて巨額の税を免れる行為に対しては、税額の誤りをただすだけでなく、刑事上の責任を追及して刑罰を科すことも求められます。通常の調査では実態究明が難しいので、より強制的な権限で調査を行い、告発にこぎ着けます。これが査察調査、通称「マルサ」といわれるものです。
マルサは通常の税務調査では認められていないような、令状を手に脱税犯の家宅などに踏み込み、強制的に帳簿を調べ、必要とあれば金庫を無理やり開けることも許されます。納税者の同意を得ながら行う通常の調査とはまったく異なり、むしろ犯罪捜査に近いのが実態です。
今でこそ査察調査の法的根拠は、通常調査と同じ国税通則法に規定されていますが、数年前までは国税犯則取締法という独自の法律によって運用されていたことからも、その違いがうかがえるでしょう。コロナ禍となってから急増している調査の対象になることのないように、問題のない税務申告をすることが求められます。
<情報提供:エヌピー通信社>