エヌピー通信社:企業版ふるさと納税が2年で6倍に

 企業版ふるさと納税を活用する自治体が全国で広がっています。2020年度税制改正で税の軽減規模が寄付額の最大9割まで拡大されたことに加え、20年10月に人材派遣型制度も導入された結果といえます。内閣府によると、自治体への寄付実績は19年度の33.8億円から、21年度には225.7億円と6倍以上に増えました。人材派遣型は23年4月時点で計30社が83自治体に累計102人を派遣しています。

 企業版ふるさと納税は、地方創生を目的に16年に創設。企業が自治体に寄付をした場合、税負担を軽減します。20年10月には人材を派遣した場合にかかる人件費などを寄付として負担する人材派遣型が導入されました。

 活用が広がる背景について、内閣府はCSR(企業の社会的責任)への意識が高まっていることを要因に挙げます。企業側には自治体とのつながりをつくれるといったメリットがある一方、自治体側は人材確保に加えて民間のスキルやノウハウを得られます。新型コロナウイルス禍で自治体のDX化が進み、IT事業関連の人材を受け入れるケースも増えたそうです。内閣府は企業と自治体のマッチングなどにも取り組み、さらなる活用とともに地域課題の解決につなげたい考えです。

 この制度では、寄付をした企業に対して自治体が補助金の交付や入札・許認可における便宜供与など経済的な見返りをすることは禁止しています。ただ、野党などからは「企業と自治体の癒着が起きかねない」といった批判も出ていて、透明性の高い運用が求められています。
<情報提供:エヌピー通信社>