確定申告の時期に増えるのが、税務署員を装って現金自動預払機(ATM)に現金を振り込ませる「振り込め詐欺」です。国税当局は毎年この時期に注意喚起していますが、詐欺は一向に減る様子がありません。言うまでもなく、国税局や税務署が金融機関の口座を指定した上で税金の振り込みや還付金の支払いのためにATMの操作を求めることはないので注意が必要です。
また振り込め詐欺の手口は税務署を名乗るものだけではありません。近年あった事例では、長男を名乗る電話で「確定申告があって税務署に3千万円払わなければいけない」、「頭金が今日中に必要」などと伝えられた女性が、自宅まで来た男に現金150万円を渡してしまったということがありました。現金を直接狙うだけでなく、勤務先や取引銀行の情報を問い合わせる事例、未公開株や社債の取り引きに関連して銀行の口座情報を聞き出そうとする例など、さまざまな被害が報告されています。
詐欺ばかりは、いかに顧問の税理士が有能であろうとも、納税者本人が気を付けていなければ防ぐことはできません。また詐欺の被害は盗難などと異なり、雑損控除などの税の救済手段も適用されません。詐欺にひっかかったのは本人のミスだからだという容赦のない理由です。
振り込め詐欺の常とう句は「時間がないから早くして」。電話口でこの言葉が出てきたときには、まず「怪しい」と思うようにしましょう。
<情報提供:エヌピー通信社>