国税庁:2021年度における悪質な滞納事例を公表!

 国税庁は、2021年度租税滞納状況を公表し、その中で悪質な滞納事例を挙げております。
 処理の進展が図られない滞納案件については、差押債権取立訴訟や詐害行為取消訴訟といった国が原告となる訴訟を提起することや、滞納処分免脱罪による告発を活用して、国税庁では積極的に滞納整理に取り組んでおります。

 2021年度は、原告訴訟に関して、前年度を13件上回る115件の訴訟を提起しました。
 訴訟の内訳は、「供託金取立等」7件、「差押債権取立」5件、「その他(債権届出など)」101件のほか、より悪質な事案で用いられる「名義変更・詐害行為」が2件ありました。
 また、財産の隠ぺいなどにより滞納処分の執行を免れようとする悪質な滞納者に対しては、「滞納処分免脱罪」の告発を行うなど、厳正に対処しました。
 具体的な事例をみてみますと、滞納処分の執行を免れるため、事業譲渡につき虚偽の陳述を行い、事業譲渡代金の一部を全額現金で出金するなどして財産を隠ぺいした行為について、国税徴収法違反(滞納処分免脱税)により告発した事例が挙がっております。

 滞納会社は飲食店の運営等を目的とする会社で、滞納会社の代表者は、株式会社Aに対する事業譲渡が成立したにもかかわらず、徴収職員に対し、虚偽の陳述を行ってその事実を隠ぺいしました。
 さらに、譲渡代金の一部を非公表だった滞納会社名義の普通預金口座に振込入金させた直後に、その全額を現金で出金した上、徴収職員に対し、事業譲渡代金の使途について虚偽の陳述を行うなどしました。

 徴収職員は、これらの行為が滞納処分の執行を免れる目的でされた財産の隠ぺいに該当すると判断して、滞納会社の代表者を国税徴収法違反(滞納処分免脱税)により告発しております。
 なお、上記の「詐害行為取消訴訟」とは、国が、滞納者と第三者との間における債権者(国)を害する法律行為の効力を否定して、滞納者から離脱した財産をその第三者から取り戻して滞納者に復帰させるために行うものをいいます。
 「名義変更訴訟」とは、国税債権者である国が、国税債務者である滞納者に代わって、滞納者に帰属しながら滞納者の名義となっていない財産の名義を滞納者名義とすることを求めて提起するものをいいます。
(注意)
 上記の記載内容は、令和4年12月5日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。