金融庁は、2023年度税制改正要望を公表しました。
それによりますと、資産所得倍増プランを促す改正要望として、少額投資非課税制度(以下、NISA)の恒久化や非課税保有期間の無期限化、年間投資枠の拡大などの抜本的拡充や、資産形成促進に関する費用に係る法人税の税額控除の導入、教育資金一括贈与制度の拡充など金融所得課税の一体化などを盛り込みました。
NISAの抜本的拡充では、制度の恒久化とともに、非課税保有期間(現行:一般NISA5年間、つみたてNISA20年間)の無期限化、年間投資枠を拡大し、弾力的な積立を可能にすること、非課税限度額の拡大(簿価残高に限度額を設定)、長期・積立・分散投資によるつみたてNISAを基本としつつ、一般NISAの機能を引き継ぐ「成長投資枠(仮称)」の導入を求めました。
上記の成長投資枠とは、安定的な資産形成を促進する観点から、非課税限度額の内枠として、既に積み上げた資産(預貯金)によるキャッチアップ投資や、企業の成長を応援するため、上場株式や一定の商品性を持った株式投信等への投資を可能とするものをいいます。
資産形成促進に関する費用に係る法人税の税額控除の導入は、今後、企業による従業員の資産形成に関する取組みを促進していくことが重要として、その取組みを促す観点から、資産形成促進に関する費用の一定割合について、法人税の税額控除を導入することや、職場つみたてNISA奨励金が「賃上げ促進税制」の対象となる旨を明確化することなどを求めております。
教育資金一括贈与に係る贈与税の非課税措置の制度については、贈与資金が長期に金融機関に預け入れられるため、一部を投資商品で運用することにより、その果実を教育関連団体等への寄附につなげることも期待されております。
しかし、現行、投資商品での運用損失や教育関連団体等への寄附等については、教育資金以外の支払分とされ、贈与税が課税されてしまうため、贈与された資金が十分に活用されていない現状があることから、同非課税措置において、一定の投資商品(例えば、つみたてNISA対象商品等)に係る運用損失及び教育関連団体等への寄附金を契約終了時の贈与税の課税対象から除外するなど制度の拡充を求めております。
今後の税制改正の動向に注目です。
(注意)
上記の記載内容は、令和4年10月3日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。