国税庁:2021年度査察白書を公表!

 国税庁は、2021年度査察白書を公表しました。
 それによりますと、2022年3月までの1年間(2021年度)に査察で摘発した脱税事件は、前年度より10件少ない103件あり、その脱税総額は前年度を12.8%上回る約102億円となりました。
 また、同年度に、全国の国税局が査察に着手した件数は116件で、前年度(111件)を5件上回りました。

 継続事案を含む103件(前年度113件)を処理(検察庁への告発の可否を最終的に判断)、そのうち72.8%に当たる75件(同83件)を検察庁に告発し、告発率72.8%は前年度を0.8ポイント下回りました。
 2021年度は、消費税の輸出免税制度を利用した消費税不正受還付事案を9件、自己の所得を秘匿し申告を行わない無申告ほ脱事案を16件、国際事案を17件、それぞれ告発しました。
 近年、査察における大型事案は減少傾向にあり、2021年度の脱税総額102億1,200万円は、ピークの1988年度(約714億円)の約14%にまで減少し、1件あたり平均の脱税額は9,900万円で、ここ5年間は1億円を下回っております。

 告発分の脱税総額は、前年度を12.3%下回る60億7,400万円となり、統計が残る1972年度以降、過去最少で、告発分1件あたり平均の脱税額は8,100万円となりました。
 告発分を税目別にみてみますと、「法人税」が前年度から12件減の43件で全体の約57%を、脱税総額でも約35.2億円で約58%をそれぞれ占めました。

 「所得税」は同1件増の9件(脱税総額約7.8億円)、「消費税」は同3件増の21件(同約16.6億円)、「源泉所得税」は同横ばいの2件(同約1.2億円)、「相続税」は0件(前年度0件)となり、消費税の告発件数のうち9件は消費税受還付事案(ほ脱犯との併合事案を含む)のものでした。
 告発件数の多かった業種をみてみますと、「建設業」が19件で前年度の2位からトップとなり、以下、前年度1位の「不動産業」が15件、「卸売業」が4件と続きました。
 いわゆるマルサと呼ばれる査察は、脱税でも特に大口・悪質なものが強制調査され、検察当局に告発されて刑事罰の対象となります。
(注意)
 上記の記載内容は、令和4年7月8日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。