国税庁:2020事務年度における消費税還付申告法人の実地調査結果を公表!

 国税庁は、2020事務年度における消費税還付申告法人の実地調査結果を公表しました。
 それによりますと、2020事務年度(2020年7月から2021年6月までの1年間)において、新型コロナの影響により調査事務量の減少等から、法人税調査件数が大幅減少傾向にある中、消費税還付申告法人への追徴税額が前年を上回りました。

 具体的には、同事務年度に実施した法人消費税の実地調査は2万5千件(対前年比▲69.8%、▲はマイナス)で、このうち1万6千件(対前年比▲63.2%)から非違が見つかり、729億円(同0.9%増)を追徴しました。
 消費税還付申告法人についてみてみますと、3,066件(同▲47.5%)に実地調査を実施し、このうち510件の不正を含む2,073件(同▲37.8%)から非違が見つかりました。
 これによる追徴税額は前年比3.0%増の219億円(うち不正還付は34億円)となり、調査1件あたりの追徴税額は同96.2%増の714万円にのぼりました。

 不正計算があった件数は同▲57.9%の5千件、その追徴税額も同▲11.6%の178億円でしたが、不正1件あたりでは同110.1%増の331万円となりました。
 消費税不正還付の主な手口は、国内で架空仕入れを計上するとともに、免税となる国外への売上を架空計上し、売上に係る消費税から仕入れに係る消費税を控除するとマイナスになることを利用して還付を受けるもので、国税庁では、法人から税務署に提出された消費税還付申告書について、申告内容に応じて、還付事由の確認のため還付金の支払手続きを保留した上で厳正な審査を行い、行政指導や実地調査を行う方針です。

 調査事例では、輸出物品売上制度を悪用し、国内事業者に対する課税売上を免税売上に仮装したケースが挙がっております。
 ドラッグストアを複数店舗経営するA社は、消費税の還付金を不正に受領するため、自社とは全く無関係の外国人旅行者等のパスポートの写しを利用し、店頭で外国人旅行者に販売したように装って、免税売上に仮装していました。
 A社に対しては、3年分の消費税の不正還付について、重加算税を含む追徴税額4,500万円が課されました。
(注意)
 上記の記載内容は、令和4年8月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。