エヌピー通信社:仮想通貨の脱税指南でコンサル再逮捕

 仮想通貨(暗号資産)取引による所得税計約7,600万円の脱税を顧客らに指南したとして、東京地検特捜部はアラブ首長国連邦のドバイに拠点を置くコンサルタント会社の役員ら2人を所得税法違反容疑で再逮捕しました。特捜部は容疑者が「タックスヘイブン(租税回避地)を使った節税」をうたって顧客を募ったとみて調べています。また、脱税の指南があったとみられる顧客ら3人を所得税法違反容疑で逮捕しました。

 仮想通貨は証券会社などを介さずにインターネット上で取引でき、値動きが激しいことからハイリスク・ハイリターンの商品と言われています。商品は「ビットコイン」など1万種類以上あるとみられます。

 今回の事件では容疑者は「ADA(エイダ)」の売却などを代行。ADAは2018年ごろに価値が高騰し、億単位の利益を得た「億り人」と呼ばれる投資家らが日本でも相次いでいました。

 日本暗号資産取引業協会によると、国内の仮想通貨の取引総額は、2016年度は約3兆5,000億円でしたが、20年度は約118兆円と30倍以上に膨れ上がりました。一方で、仮想通貨の取引で生じた利益は「雑所得」にあたり、最大税率は55%となります。これは、税率が20%の株式との差は大きく、投資家らの不満が事件の背景にあるとの見方もあるようです。

 仮想通貨に関わる税制改正を求める意見は自民党内からも出ていて、分離課税の導入などを23年度の税制改正で議論するよう訴える声もあります。日本暗号資産ビジネス協会は「仮想通貨は決済手段として利用する人も増えています。課税も株式などの金融商品と整合性を取るべきだ」としています。
<情報提供:エヌピー通信社>