コロナ禍で打撃を受けた事業者に資金繰り支援を行う政府系金融機関の実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)が、3月末で申し込み期限を迎えます。コロナ禍以降、政府主導で55兆円もの巨額資金が全国の事業者に貸し出されましたが、今後は返済が本格化していくことになります。夏の参院選を前に与党内には事業者への追加支援を模索する動きもありますが、財務省幹部は「一部の(返済が)厳しい人のために全員一律で救済するようなことは絶対にしてはいけない」とクギを刺しています。
ゼロゼロ融資は2020年3月にスタート。利子を各都道府県が負担し、元本は政府の財源を裏付けとした信用保証協会が肩代わりすることで、事業者は実質無利子・無担保で融資を受けられます。21年末で終了する予定でしたが、岸田政権が昨年秋に策定した経済対策の一環として今年3月末まで延長されていました。
21年の企業倒産(負債額1千万円以上)は対前年比22%減の6,030件と歴史的な低水準となり、ゼロゼロ融資が果たした役割は鮮明です。一方で、「コロナがなくても存続できなかった『ゾンビ企業』まで延命されており、経済の新陳代謝を妨げている」(経済官庁幹部)との厳しい指摘もあります。
ゼロゼロ融資の終了により、22年は倒産件数の増加が懸念されます。財務省幹部は「支援の手じまい方が重要で、やり方を間違えると多くの人が路頭に迷ってしまう」と述べる一方、「返済できる人にはしっかり返してもらうことが大事だ。返済猶予などの支援策を講じる際にも、本当にコロナが理由で苦境に陥っている事業者なのかしっかり見極めていく必要がある」と強調しました。アフターコロナを見据え、公的資金に頼らずとも「独り立ち」できる経営力が求められているようです。
<情報提供:エヌピー通信社>