エヌピー通信社:マイナンバー違憲裁判で住民が上告

 マイナンバー制度はプライバシー権を侵害し違憲だとして納税者11人がマイナンバー利用差し止めなどを求めた裁判で、納税者側の訴えを退けた名古屋高裁の控訴審判決を受け、7人が判決を不服として最高裁へ上告しました。同じ内容の訴えを巡って全国で複数の裁判が行われていますが、ここまではすべて納税者側が敗訴しています。

 訴えた納税者らは、「本人の同意を得ない個人情報の収集や利用は憲法13条が保障するプライバシー権を侵害する」と主張しています。また制度開始から番号の漏えいもたびたび起き、安全対策も不十分と指摘。それに対し国は、「漏えいは人為的ミスによるもので、制度上の欠陥が原因ではない」と反論していました。

 2019年12月の名古屋地裁判決では、「正当な行政目的の範囲を超えて個人情報が利用される危険があるとはいえず、原告らの権利や利益を侵害するとはいえない」と述べ、原告の訴えを退けています。

 また控訴審で原告側は、マイナンバーカードが公務員の身分証明書や健康保険証として使えるようにするなど利用範囲が拡大されていることを踏まえ、社会保障・税・災害に限るとしていた番号制度が当初うたっていた利用範囲を超えていることも問題点として訴えました。しかし判決では、カードが不正利用できる仕組みにはなっておらず、「漏えいの機会を増大させるとまではいい難い」として認めませんでした。

 マイナンバー制度は「税・社会保障・災害対策」の3分野に限定して個人と番号を紐付けることで行政と国民のそれぞれにメリットがあるとして、2016年に開始。税務申告書への記載義務化や銀行口座との紐付けなどが行われる一方で、納税者の利便性向上や災害対策に活用されているとはまだ言えないのが実情となっています。
<情報提供:エヌピー通信社>