ガソリン価格が高騰して事業者や家計の負担が増している中、ガソリン税の一部を課税停止する「トリガー条項」の発動を求める声が野党などから上がっています。ただ、実際に発動するためにはまず法改正が必要となり、現段階では実現は難しい状況です。
ガソリンには国税の「揮発油税」、地方税の「地方揮発油税」がかけられていて、合わせて「ガソリン税」と呼ばれています。ガソリン税の税額は1リットルあたり53.8円で、このうち約半分の25.1円分は「旧暫定税率」として本来の税額に上乗せされ続けている形。軽油にかかる「軽油引取税」(1リットルあたり32.1円)にも同様に上乗せ分(17.1円)があります。さらに、ガソリン自体の価格にガソリン税などを足したものに消費税が課されています。
トリガー条項はこの上乗せ分(旧暫定税率)の課税を停止することで小売価格を引き下げる制度。発動条件は、総務省が毎月発表しているガソリンの全国平均小売価格が3カ月連続で1リットルあたり160円を上回った場合で、3カ月連続して1リットルあたり130円を下回れば元の税額に戻します。
トリガー条項は民主党政権下の2010年に策定されました。しかし翌年の11年3月に発生した東日本大震災の復興財源確保などのためとして凍結された経緯があります。凍結解除をするには法改正をしなければなりません。
一部野党はトリガー条項の凍結解除を求めて国会の場などで呼びかけています。一方で政府・与党は「ガソリンの買い控えや、その反動による流通の混乱、国・地方の財政への多大な影響などの問題がある」として解除に否定的な見解を示しています。
<情報提供:エヌピー通信社>