国内107銀行の2021年3月期の総貸出金残高が501兆611億円(前年比5.1%増)だったことが東京商工リサーチの調べで明らかになりました。2010年3月期以降の調査で、総貸出金残高が500兆円を上回ったのは初めて。コロナ禍による中小企業などへの資金繰り支援のために貸出金が大きく伸びました。一方、中小企業の過剰債務が懸念され、銀行には企業育成の力量も問われています。

 貸出金全体の7割近くを占める中小企業向けの貸出金残高は340兆8,744億円(4.4%増)で、過去最高となりました。コロナ感染拡大による経済活動の極端な鈍化を受け、売上高が急減した企業を積極支援した結果が如実に表れました。一方、国や地方公共団体向けの貸出金残高も7.9%増の36兆2,237億円で過去最高となりました。資金繰り支援で企業が受けた借入金や、各種給付金などで預金残高が積み上がったことで、銀行が自治体などへの貸し出しを進めた結果とみられます。

 中小企業向けの貸出金残高を地区別に見ると、全10地区で前年を上回りました。増加率トップは北海道の9.5%増。次いで中部6.5%増、四国6.2%増、九州5.7%増――と続きます。

 コロナ禍の長期化により、多くの中小企業の業績回復は遅れが指摘されています。ただコロナ禍の緊急避難的な融資もやがて返済期限が訪れます。事業の好転が見込めない企業への対応は今後の重い課題となりそうです。
<情報提供:エヌピー通信社>