国税庁が公表したデータによれば、2020事務年度に納税者が国税当局に起こした訴訟のうち、裁判所で納税者の主張が一部でも認められた割合は7.8%だったそうです。
納税者が当局の課税処分に対して異議を申し立てる方法は三段階あり、第一段階が再調査請求、第二段階が国税不服審判所への審査請求、最後が裁判所への訴訟提起です。7.8%という勝率を、2回はじかれても1割弱は逆転できるとみるべきか、2回はじかれた時点であきらめたほうがよいとみるべきかは考えが分かれそうですが、どちらにせよ裁判まで持ち込んでの全面敗訴は、精神的にも金銭的にもかなりこたえることは間違いありません。
ちなみに第一段階である再調査でも納税者の主張が認められたのは10%、次の審査請求でも10%でした。もちろん決定が覆るかどうかはそれぞれの事案によるため、全体の確率をもって〝勝算〟を論じられるものではありませんが、段階にかかわらず一度下された当局の決定を覆せる確率はおおよそ1割程度と覚えておいてよいでしょう。
審査請求や訴訟を行うには、時間もかかれば手間もかかります。その上で勝率は1割程度となれば、そもそも意に沿わぬ課税処分を受けないよう、抜け目のない申告書を作成することだけが〝必勝テクニック〟と言えるのかもしれません。
<情報提供:エヌピー通信社>