自然災害の被災者に対する義援金が確実に生活再建に使われるよう、税滞納などにかかる差し押さえなどを禁止する法がこのほど成立しました。これまで東日本大震災など複数の災害で義援金の差し押さえを禁止する特別法が成立してきましたが、日本弁護士連合会などから法の恒久化を求める声が上がっていました。
今回成立した災害義援金差押禁止法では、洪水、地震、津波、火山噴火など自然現象から生じた災害をすべて対象としています。また義援金の定義を「被災者または遺族の生活を支援(中略)する等のため自発的に拠出された金銭を原資として、都道府県または市町村が被災者に交付する金銭」と規定し、これらの義援金は、「差し押さえることができない」としています。
自然災害の被災者は生活に大きなダメージを受けるため、収入や資産が著しく損なわれ、税を納められなかったり、また住宅ローンなどの借金を払えなくなったりすることが少なくありません。そこで金融機関などが、生活支援のために交付された義援金を差し押さえるケースも散見していました。
そこで日本弁護士連合会などの提言を受け、被害が甚大な災害では、義援金の差し押さえを禁じる特別立法がされてきた経緯があります。これまで特別法により義援金の差し押さえが禁止されたのは、2011年の東日本大震災、16年の熊本地震、18年の西日本豪雨と大阪府北部地震、19年の東日本台風ほか一連の豪雨、20年の7月豪雨の6回です。
しかしこれ以外の災害では義援金が差し押さえられることもあり、対象となる災害の拡大と一般法化が求められてきたことから、今回の恒久法成立に至りました。なお国税徴収法の第75条では、「差し押さえることができない」財産を限定して列挙しています。
<情報提供:エヌピー通信社>