国税庁は、2020年4月30日に施行された「納税の猶予制度の特例」(特例猶予)について、2021年1月29日までの9ヵ月間に猶予申請を許可した件数が29万9,500件、猶予した税額が約1兆3,863億円に達したことを公表しました。
上記の税額約1兆3,863億円の内訳は、「消費税及び地方消費税」が8,123億4千万円と全体の58.6%を占めて最多、次いで、「法人税」が4,203億4,900万円(構成比30.3%)、「所得税」が1,073億300万円(同7.7%、「源泉所得税」762億3,400万円、「申告所得税」310億7千万円)、「その他の税目」が463億300万円(同3.3%)となりました。
新型コロナ感染症の影響に係る特例猶予は、2020年2月1日から2021年2月1日までに納期限が到来する所得税、法人税、消費税等ほぼすべての税目(印紙で納めるもの等を除く)が対象になりますが、既に納期限が過ぎている未納の国税(他の猶予を受けているものを含む)についても遡ってこの特例を利用することができ、今回は既存猶予制度の適用件数・税額や遡及申請分の一部が含まれていません。
納税猶予制度の特例は、新型コロナ感染症の影響により2020年2月以降の収入に相当の減少があり、税金の納付が困難な事業者等に対し、無担保かつ延滞税なしで1年間納税を猶予するもので、2020年2月以降の任意の期間(1ヵ月以上)において、事業等に係る収入が前年同期に比べて概ね20%以上減少していること、一時に納税を行うことが困難のいずれも満たす納税者(個人法人の別、規模は問わず)が対象となります。
既存の国税の猶予制度は、期限内の納税が難しい場合に、申請により税務署長の承認を受けて、期限後に(必要に応じ分割して)納税ができるようになる制度で、猶予を受けるためには一定の条件を満たす必要がありますが、猶予期間中(原則1年間)は、延滞税が軽減(通常:8.9%/年、猶予期間中1.6%/年)され、2018事務年度(2018年7月1日~2019年6月末)においては、4万1,871件、税額694億8,700万円が適用されております。
国税庁では、新型コロナウイルス感染症の影響により、納税が困難な納税者に対し、納税の猶予等の納税緩和措置を適切に適用していくとしております。
(注意)
上記の記載内容は、令和3年3月15日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。