政府は閣議決定した21年度予算案で、税収について20年度当初比6兆650億円減の57兆4480億円を計上しました。新型コロナウイルス感染症の影響から経済の持ち直しは続くものの、税収の回復には時間がかかりそうです。
内訳は、所得税が同8620億円減の18兆6670億円、法人税は同3兆680億円減の8兆9970億円、消費税は同1兆4350億円減の20兆2840億円。外出頻度の減少で、揮発油税も1340億円減の2兆700億円に下振れしました。
一方、税収を55兆1250億円に下方修正した20年度第3次補正予算案と比較すると、所得税で1710億円、法人税で9560億円、消費税で1兆110億円、それぞれ増額しました。
予算案がまとめられた時点での経済状況は、緊急事態宣言が出された20年4~5月を底にして、持ち直しの動きが続いていました。それに伴い、税収も足元よりは上向くとみているようです。
ただ、21年度税制改正で、赤字を翌期以降の黒字と相殺できる優遇措置を大企業向けに拡充したため、仮にワクチンが普及して経済水準がコロナ前に戻っても、法人税の戻りは緩やかにならざるをえません。所得税も、失業率の悪化やボーナスの減少の影響が残る見通しで足取りは重い状況です。
こうした税収の落ち込みを受け、新規国債発行額は同11兆408億円増の43兆5970億円を計上。当初予算ベースで見ると、9年ぶりの水準まで悪化しました。近年は30%台で推移していた公債依存度は40.9%で、前年度より悪化するのは11年振りです。
<情報提供:エヌピー通信社>