子や孫への教育資金の一括贈与を非課税にする特例について、政府・与党は3月末となっている期限を2年延長します。一方で孫への贈与については適用要件を厳格化し、節税目的での利用を防ぐ内容も追加します。与党税制改正大綱に見直しを盛り込んだものです。
教育資金の一括贈与の特例は、もともと子どもの学費負担などにかかる経済的不安から若年層が結婚や出産に尻込みして少子化が進んでいるとして、若年層への資産移転を促す目的で2013年に導入されました。30歳未満の子や孫を対象として、教育資金として使うのであれば受贈者一人当たり1500万円までの一括贈与について贈与税を非課税にする特例です。
現行制度では、祖父母が孫に贈与するケースで贈与から3年が経てば、一部の例外を除き相続発生時に使い残しがあっても相続税は課されませんが、この点につき甘利明税調会長は、孫が23歳未満や在学中である場合以外は「2割加算した相続税を課すことも検討に値するという意見が多かった」と12月1日の会合で述べていました。見直しのポイントは「3年縛り」が撤廃されるという点です。
同特例は、創設当初は3年縛りのルールは設けられていませんでした。しかし、子や孫の数だけ1500万円ずつを非課税で財産移転できることや、教育を受け終わった社会人でも贈与を受けられてしまうことなどから、「世代を超えた格差固定につながる」との反発の声があり、19年度税制改正で見直しが行われました。その結果、例外として、①贈与を受ける年の所得合計金額が1千万円を超えるときは非課税の対象外となる、②教育資金の用途を縮小し、贈与を受けた側が23歳以上であれば、学費や限定された教育訓練費以外の費用は非課税の対象外となる、③贈与を受けた側が23歳以上で、学校等に在学せず何ら教育訓練も受講していない時には、贈与して3年以内に父母や祖父母など贈与側が死亡すれば贈与財産は相続税の対象となる――という制限がかけられていました。
<情報提供:エヌピー通信社>