新型コロナの影響で税務調査の件数が激減している中で、当局は多額の追徴課税が見込まれる納税者の選定に力を入れています。特に目を光らせているのが「海外取引」や「インターネット取引」、「富裕層」といったキーワードに関連する申告。国税庁の最新の調査報告書にも、関連調査の実例が紹介されています。

 例えば国外への送金で外国法人の株式を取得したAは、配当所得があるにもかかわらず日本で申告をしなかったため、国税当局の調査の対象となりました。国税当局がAの了解を得たうえでパソコン内のデータを確認したところ、外国法人の配当の支払明細書と海外の預金口座の取引明細書の一部が保存されていたことが発覚。それらを基に調べた結果、配当金は少額とは言えないものでした。さらに配当と譲渡益について、海外の金融機関の口座に入金された額の一部をハンドキャリーで日本に持ち込み、配当の受け取りの事実を隠ぺいしていたことも明らかになっています。

 また、ライブイベントで販売されていた物品(音楽メディア)を複数のネット販売サイトで販売していたBは、数年にわたって多額の売上があったにもかかわらず、一度も申告していませんでした。インターネット取引は匿名性が高く国税当局には把握されないと考えていたそうです。申告に必要な領収書などの証拠文書を破棄していたほか、ネット販売サイトで使用していたIDを削除するという隠ぺい行為も行っていました。

 その後、国税当局の税務調査によって、B本人の預金口座にネット販売業者から多額の入金があることが判明。ネット収入の使い道について国税当局が追及した結果、多数の業者を通じて暗号資産取引を行っていたことも分かりました。暗号資産の利益についても一部の取引だけを申告し、税負担を不正に減らしていたそうです。

 海外やネット上にある資産・所得は把握されにくいと考えがちですが、国税当局が徹底的に調べ上げるので、隠し通すことはできないというのが実情のようです。
<情報提供:エヌピー通信社>