税金の場合の消滅時効

■時効制度とは
  時効とは、法律用語の一つで、ある出来事から一定の期間が経過したことを主な法律要件として、現在の事実状態が法律上の根拠を有するものか否かを問わずに、その事実状態に適合するよう権利又は法律関係を変動させる制度です。

■破産制度も
  破産も債権債務関係を強制的に変動させる制度で、特に自己破産の場合は、破産宣告を受けて、免責を受けると、債務がゼロになり、ゼロからの再チャレンジの機会を得ることになります。

  ただし,税金等の公租公課や養育費や扶養義務に基づく支払債務などは公序良俗的理由から例外的に免責されません。

■国税の時効
  国税徴収権の消滅時効の期間は法定納期限から5年です。ただし、刑事告発されるような「偽りその他不正の行為」が発覚した場合には、時効の完成は7年に延びます。

  租税債務は破産でも消滅しないのですから特別扱いなのですが、時効についても何か特別扱いがあるかというと、そういう規定は特にありません。

  逆に、「その援用を要せず、またその利益を放棄することができない」とされていて、納税者に有利な規定となっています。

■税金の場合の時効消滅
  国税徴収官には、滞納税金の消滅時効を回避保全する事が義務付けられています。滅多なことでない限り単なる期間の徒過による時効消滅はありそうではありません。

  それでは、納税者が破産宣告を受けた後でも、督促状が送り続けられてきた上で、破産後5年経過前に時効中断措置が採られるものなのでしょうか。

  形式的にはそういうことになるのでしょうが、実際には民間の債権債務の貸倒処理と同じく、滞納税金が少額であるとか、回収費用がかかりすぎるとか、回収そのものが困難とかの場合には、時効回避保全事務を解除する措置をとりますので、督促状も来なくなり、滞納税金も時効期間の経過とともに消滅することになります。

  なお、6ヶ月のブランクをおかずに、請求をかけ続ければ、裁判を起こさなくとも、時効は進行しないのではないかと思いの方がおられるかもしれまんが、それは、法律の知識がおありの方、あるいは、長年経理を担当されている方に陥りがちな誤解です。

  正確には、消滅時効の期間内に督促をかけ、そこから6ヶ月以内に裁判を起こせば、仮に裁判を起こした時点で消滅時間を過ぎていても、時効が中断しますが、逆にその期間内に裁判を起こさなければ、やはり時効は中断されません。